グラフィカルアブストラクトのサイズ・解像度・DPI:投稿前チェックガイド
グラフィカルアブストラクトに、すべての投稿先で使える共通サイズはありません。最初に確認するのは「300 DPI になっているか」だけではなく、どのジャーナルの、どの提出項目に使う画像なのかです。本文の図版、TOC graphic、graphical abstract、広報用の画像では、適用される要件が違うことがあります。
このガイドでは、公式要件を読み取り、手元のファイルと照合する手順を説明します。サイズが一致しても、科学的な正確性、著作権、AI 利用の可否や投稿の受理まで確認できるわけではありません。
1. まず投稿先と提出項目を特定する
投稿するジャーナルの最新の Guide for Authors を開き、論文種別と提出項目を確認します。出版社共通ページだけで判断せず、そのジャーナル固有の説明を優先してください。
| 確認する項目 | メモする内容 |
|---|---|
| 用途 | graphical abstract、TOC graphic、本文の図版など |
| 寸法 | 幅と高さ、単位、最小値か最大値か、縦横比 |
| 解像度 | DPI または PPI、画像の種類による違い |
| ファイル形式 | 投稿システムが受け付ける形式 |
| その他 | 色空間、容量、書体、文字サイズ、圧縮方式 |
たとえば、Elsevier の graphical abstract 案内には、幅 1328 × 高さ 531 px 以上、300 DPI 以上という例が示されています。推奨形式は TIFF、EPS、PDF、MS Office ファイルです。これは出版社の案内であり、投稿先の個別要件の確認に代わるものではありません。
一方、PLOS ONE の Figures ガイドは主に本文の図版の出版要件を扱い、TIFF または EPS、300–600 DPI を指定しています。この数値を PLOS ONE の「グラフィカルアブストラクト専用規格」として使うのは適切ではありません。Striking Image の説明とも区別してください。
これらの公式ページは 2026年10月22日に確認しました。投稿時にはリンク先の現行版を読み直してください。ジャーナル別の規格ページから確認を始めることもできます。
2. px・mm・DPI の関係を計算する
px は画像を構成する画素数です。mm は配置したときの物理的な大きさ、PPI はその大きさに対して1インチに何画素あるかを表します。投稿ガイドや画像ソフトでは、この解像度を DPI と表記することもあります。
換算の基本は次のとおりです。1インチは 25.4 mm です。
必要な画素数 = 長さ(mm)÷ 25.4 × 解像度(DPI)
計算例として、幅 100 mm、高さ 50 mm、300 DPI のキャンバスを考えます。これは換算用の仮定であり、特定のジャーナルの規定ではありません。
| 辺 | 計算 | 最小画素数を満たすために切り上げた値 |
|---|---|---|
| 幅 | 100 ÷ 25.4 × 300 = 約 1181.10 | 1182 px |
| 高さ | 50 ÷ 25.4 × 300 = 約 590.55 | 591 px |
端数を丸めると物理寸法にわずかな差が出ます。投稿先が整数の画素数を指定している場合は、その指定を優先してください。固定キャンバスに合わせる際も、画像を無理に引き伸ばして縦横比を崩さないようにします。
3. DPI の数字だけを変えても細部は増えない
1000 px 幅の画像を 300 DPI で配置すると、幅は約 84.7 mm になります。画素数を変えずに DPI のメタデータだけを変えても、文字や線の細部は増えません。
画像を拡大する再サンプリングは画素を補間する処理です。元から読めないラベルや欠けた情報を、正確に復元する保証はありません。小さな元画像を使い続けるより、元の図を適切なサイズで書き出し直すことを検討してください。
チェックするのは、書き出し設定だけでなく実際に保存されたファイルです。DPI 情報が保存されていない場合もあるため、画素数と想定する配置寸法を合わせて確認します。
4. 小さく表示したときの読みやすさと形式を確認する
作業画面を拡大した状態では読めても、掲載時のサイズではラベルや矢印が見えにくくなることがあります。想定する掲載サイズで開き、主張、図中のラベル、凡例、矢印の向きが読み取れるかを確認します。
拡張子を変更するだけでは形式は変わりません。PNG を TIFF に変換しても、元の画素数や科学的内容が改善されるわけではありません。必要な形式・色空間・圧縮方式を指定できるソフトで書き出し、変換後のファイルも開いて確認してください。
Abfig のグラフィカルアブストラクトの出力は RGB の PNG または TIFF です。EPS、PDF、CMYK が必要な場合は、対応する別の制作工程が必要です。生成結果は下書きとして確認し、投稿先の AI 利用規定や権利・開示条件も別途確認してください。無料プレビューとダウンロードの利用条件は料金ページで確認できます。
5. 投稿前に最終ファイルを照合する
- 投稿先と論文種別の公式要件を開く。
- 最終ファイルの幅・高さ・画素数・解像度・形式を確認する。
- 色空間、容量、文字、圧縮方式など、提出区分固有の条件を確認する。
- 掲載サイズで読めるか、科学的な意味を誤って伝えていないかを確認する。
- AI 利用、権利、必要な開示を公式方針と照合する。
チェッカーの結果はファイル仕様の確認に使います。投稿規定全体への適合や、ジャーナルによる受理を保証するものではありません。
仕様に照らしてファイルを確認
DPI チェッカーで寸法・解像度・形式を確認し、投稿先ジャーナルの公式ガイドで最新要件を確認してください。